イベント用品レンタルのダブルブッキングを防ぐには?在庫の空き確認を「電話・Excel・ホワイトボード」で比べる

レンタルの仕事で一番困るのは、同じ品物を、同じ期間に、2つの案件へ約束してしまうことです。いわゆるダブルブッキングです。
見つかるのが早ければ、ほかの拠点から回す、協力会社から借りる、似た品物で相談する、といった手が打てます。見つかるのが搬入の直前だと、打てる手が一気に減ります。
私の現場でも、ダブルブッキングはありました。起きやすかったのは、モニターやショーケースのように、数の限られた品です。特に多かったのは、同じイベント・催事に出展する別々の会社から、同じ品の注文が重なるケースでした。注文が同じ時期に集中する繁忙期に、何がどこに出ているかを把握しきれていなかったのが原因です。
ある時は、倉庫が手配書を確かめる段階で気づきました。幸い本体の数は足りましたが、組み立てに使う部材が足りず、遠くの拠点から急いで取り寄せることになりました。

この記事では、ダブルブッキングが起きやすい場面と、在庫の空き確認のやり方(電話・Excel・ホワイトボード)の向き不向き、紙やExcelでも始められる5つのルールをまとめます。日付が重なる貸出の数え方そのものは、「イベント用品レンタルの在庫管理をExcelで続ける時の限界と工夫」に書きました。今回は、その手前の「空きを確かめて、約束するまで」の話です。
ダブルブッキングが起きやすい場面
在庫の数そのものを間違えるより、「空いている」と答えた後に、別の約束が入ることで起きる場合が多いと考えています。
- 見積の段階で押さえるかどうかが決まっていない:見積を出しただけの案件を在庫から引くか、引かないかが人によって違う
- 何人もが同時に答えている:営業が2人以上いて、それぞれがお客様に「空いています」と答える
- 貸出期間を「使う日」だけで数えている:搬入の前日に出す日、戻ってから検品・清掃・補修にかかる日が抜けている
- 拠点ごとに在庫を見ている:全体では足りるのに、出す拠点には無い。または、ほかの拠点で同じ品が押さえられている
- 戻ってこない品がある:返却の遅れ、破損・修理中、紛失で、表の上の数と実際に出せる数が違う
- 電話でその場の返事を求められる:確かめる時間が無く、記憶で答えてしまう
- 同じ催事に、別々の会社から同じ品の注文が入る:注文が同じ時期に集中し、一つひとつは足りて見える
- 本体は足りても、部材が足りない:組み立て式の品は、本体の数だけ見ていると部材の不足に気づきにくい
在庫の空き確認、3つのやり方を比べる
空き確認のやり方は、会社の規模や品物の数で向き不向きがあります。どれが正しいというより、自分の会社の弱いところがどこかを見るための比較です。
| 倉庫へ電話で聞く | Excelの予約表 | ホワイトボード・壁のカレンダー | |
|---|---|---|---|
| 答えの速さ | 相手がつかまれば早い。不在だと待つ | 開けばすぐ。ただし表が最新なら | その場に行けばすぐ |
| 答えの確かさ | 倉庫の人の記憶と、棚の実物に頼る | 書き込みが漏れていなければ確か | 書き込みが漏れていなければ確か |
| 何人もが同時に使う | 聞くたびに倉庫の手が止まる | 同時に直すと、片方が消えることがある | 外出先・ほかの拠点からは見えない |
| 記録が残るか | 残らない(言った・言わないになりやすい) | 残る | 消すと残らない |
| 向いている会社 | 品物が少なく、倉庫の人がすべて把握している | 品物・案件が多く、書き込む人が決まっている | 拠点が1つで、みんなが同じ部屋にいる |

実際には、この3つを組み合わせている会社が多いと思います。そのとき気をつけたいのは、どれが「正本」なのかを決めておくことです。電話で聞いた答えと、Excelの表と、ホワイトボードがそれぞれ少しずつ違うと、どれを信じればいいか分からなくなります。
私の現場では
空きの確認は、倉庫への直接確認でした。担当者に聞くか、現物を見に行く。表の数字より、現物の方が確実だったからです。
ただ、確かめるたびに時間がかかります。管轄外の地域の在庫は、電話して、そのつど確認してもらう必要がありました。繁忙期や大型催事の時期は、その催事の担当者にも確かめなければなりません。お話を伺った同業の会社では、商品ごとにExcelで在庫を持ち、そこから自分で引いていくやり方でした。品物が少なく、書き間違いが無いことが前提なら回る方法だと思います。
紙やExcelでも始められる、5つのルール
1. 「仮押さえ」と「確定」を分けて書き、仮押さえに期限を付ける
見積を出した段階の案件は、決まるかどうか分かりません。かといって、まったく押さえないでいると、決まったときに品物が無いことがあります。そこで、予約表に「仮」と「確定」の区別と、仮押さえの期限(例:11月15日までに返事が無ければ外す)を書きます。期限が来た仮押さえは、誰が見ても外してよいと分かります。
私の現場では、見積の段階では押さえていませんでした。それでも在庫があるかは確かめるので、確かめる手間だけが二重にかかります。特に数の少ない品は気になっていました。本当は、予約表の上で見積段階の案件を薄いグレーなどで見せておきたかった。そうすれば周りにも伝わり、あとで重なったときに、その案件の担当者へ連絡もできます。

2. 貸出期間は「倉庫から出る日」から「次に貸せる日」までで数える
お客様が使うのは3日間でも、搬入の前日に積み込み、戻ってから検品や清掃、補修をすれば、倉庫から離れている期間はもっと長くなります。予約表には倉庫から出る日と次に貸せるようになる日を書き、その間を押さえます。私の現場では、閑散期は戻ってすぐ次に貸せましたが、繁忙期は検品や片付けが追いつかず、1週間ほど遅れることもありました。冷蔵の品や仕組みの複雑な品は、戻ってからいつ貸せるかが読みにくいので、日数を多めに見ておくと安心です。
3. 在庫の正本を1つに決める
拠点ごと・担当者ごとに表を持つと、合計が見えなくなります。予約表は会社で1つにして、拠点は1つの列で持ちます。ホワイトボードを使う場合も、「最後に正しいのはExcelの表」のように、どちらが正本かを決めておきます。
4. 空きの答えに「何時時点か」と「誰が確かめたか」を付ける
「空いています」と答えた30分後に、別の案件で押さえられることがあります。お客様や社内に答えるときは、「10月31日15時の時点で、30台空いています(倉庫の〇〇さん確認)」のように、時点と確かめた人を添えます。あとで食い違ったときに、どこで行き違ったかを追えます。
5. 足りないときの手を、先に決めておく
ダブルブッキングをゼロにするのは難しいので、見つかったときに何をするかを先に決めておきます。
- ほかの拠点にあるか:あれば、いつまでに動かせば間に合うか
- 協力会社から借りられるか:どこに、誰が連絡するか
- 似た品物で代えられるか:お客様に相談するときの言い方も決めておく
- どちらの案件を優先するか:先に確定した方、など社内の決まり
私の現場では、足りないときはまずほかの拠点から引っ張ってきました。ただ、運ぶ費用はお客様に請求できず、その分はそのまま赤字になります。協力会社から借りる手もありますが、手間が増え、利益も落ちるので、できれば避けたい手でした。
一番大変だったのは、お客様とのやり取りです。なんとか数がそろえば良いのですが、本当に足りないときは、値引きや代わりの品の提案で交渉することになります。ふだんの仕事に使うはずの時間と労力が、ここで大きく持っていかれました。
予約表の書き方の例
上のルールを入れた予約表は、たとえば次のようになります(例え話です)。
| 品物 | 数量 | 案件 | 状態 | 倉庫から出る日 | 次に貸せる日 | 拠点 | 書いた人・日時 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 長机 W1800 | 30 | A社 展示会 | 確定 | 11/19 | 11/24 | 本社倉庫 | 前山 10/28 10:12 |
| 長机 W1800 | 25 | B社 式典 | 仮(11/15まで) | 11/21 | 11/25 | 本社倉庫 | 佐藤 10/30 16:40 |
長机が本社倉庫に50台なら、11月21日〜23日は55台必要になり、5台足りません。仮押さえの段階で気づければ、B社に返事をする前に、ほかの拠点や協力会社を当たれます。Excelなら、「仮」の行の色を薄いグレーにしておくと、確定とひと目で見分けられます。
よくある質問
レンタル品のダブルブッキングを防ぐには、何から始めればいいですか?
まずは予約表に「仮」と「確定」の区別と、仮押さえの期限を書くところから始めるのがおすすめです。次に、貸出期間を「倉庫から出る日」から「次に貸せる日」までで書くようにします。どちらも、今の表に列を1つか2つ足すだけで始められます。
見積を出しただけの案件も、在庫を押さえるべきですか?
会社の考え方次第ですが、押さえない場合は、決まったときに品物が無いことがあります。押さえる場合は、決まらなかった案件がいつまでも在庫を止めてしまいます。「仮押さえ」として区別し、期限を付けるのが、両方の困りごとを減らす方法です。
ダブルブッキングが見つかったら、まず何をすればいいですか?
どちらの案件が先に確定していたかを確かめ、社内の決まりに沿って優先する案件を決めます。そのうえで、ほかの拠点、協力会社、似た品物の順に当たります。お客様への連絡は、代わりの案を用意してから行うと、話が進めやすくなります。
まとめ|空きを「答える」ところに決まりを作る
ダブルブッキングは、数え間違いより、空きを答えたあとの行き違いで起きることが多いと考えています。紙やExcelでも、次の5つで減らせます。
- 「仮押さえ」と「確定」を分け、仮押さえに期限を付ける
- 貸出期間は「倉庫から出る日」から「次に貸せる日」までで数える
- 在庫の正本を1つに決める
- 空きの答えに「何時時点か」と「誰が確かめたか」を付ける
- 足りないときの手を先に決めておく
私は、見積や受注の数が在庫から自動で引かれる仕組みが欲しいと、ずっと思っていました。ただ、予備として多めに持ち出す、現場で壊れて追加で持ち込む、といった動きがあるので、実際の数を追い続けるのは簡単ではありません。営業が何人もいて、拠点が2つ以上あり、案件が多い会社では、表を正しく保つ手間そのものが重くなります。そこから先は、案件の内容から在庫の空きが自動で計算される「仕組み」の話になります。私が作っているDEEPOTは、そこを目指した業務システムです。
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DEEPOTについて
DEEPOTは、展示会・イベント用品のレンタル会社向けの業務システムです。受注した案件の品物は、納品日から回収日まで、在庫の空きから自動で差し引かれます。見積を作る画面でも、在庫の空きを確かめられます。数量や商品が変わっても、案件の明細を直せば、見積書・手配書を同じ情報から出し直せます。まずは営業から始められ、倉庫や配送は、今までのやり方を変えずに使えます。登録なしで触れる体験用の画面(架空のデータ)があります。今お使いの見積書や在庫表を1点もとに、DEEPOTでできること・今までどおり必要な作業をA4・1枚で比べる資料も、無料でお作りしています。