イベント用品レンタルの在庫管理をExcelで続ける時の限界と工夫

展示会やイベントの什器・備品をレンタルしている会社では、在庫表・予約表・見積書をそれぞれExcelで作り、組み合わせて回しているところが少なくありません。私が電話で同業の方にお話を伺った範囲でも、「普段は特に困っていない」という声が多くありました。
Excelは手軽で、自由がききます。小さな会社なら、Excelのままで十分に回せます。ただ、ある場面に差しかかると急に手間が増えます。この記事では、Excelで在庫管理を続けるための工夫と、限界が出てくる場面を、現場の目線でまとめます。
Excelでの在庫管理、よくある形
レンタル業のExcelは、だいたい次の3つに分かれています。
- 在庫表:品番・品名・総数・保管場所。棚卸しの時に数を直す
- 予約表(貸出表):案件ごとに、何を・何個・いつからいつまで出すか
- 見積書:案件ごとに1ファイル。前の見積をコピーして作ることが多い
この3つが別々のファイルなので、「見積を作る → 予約表に書く → 在庫と突き合わせる」を、人が手で行き来することになります。

限界が出てくる5つの場面
1. 期間が重なる貸出を数える時
レンタルは「何個あるか」ではなく「その日に何個空いているか」が大事です。同じ品物が、10日〜12日と11日〜15日の2件に出ていれば、11日・12日だけ足りなくなるかもしれません。予約表を日付ごとに足し算しないと分からず、案件が増えるほど見落としやすくなります。
2. 拠点(倉庫)が2つ以上になった時
本店と別の倉庫に同じ品物がある場合、「全体では足りるが、出す拠点には無い」ということが起きます。拠点ごとにファイルを分けると、合計が見えなくなります。

3. 大型案件で、直前に内容が変わった時
展示会の直前に、数量や品物が変わることはよくあります。見積・予約表・在庫の3か所を直す必要があり、どれか1つでも直し忘れると、当日に足りない・余るが起きます。

4. セット品・部材で数える品物がある時
例えばステージは、同じ高さでも「600mmの台を2つ」でも「300mmの台を4つ」でも組めます。見積は「ステージ1式」でも、在庫は部材の数で持っているので、Excelでは換算が人の頭の中だけになりがちです。
5. 同じファイルを何人もが触る時
営業と倉庫が同じ予約表を開くと、上書きや「どれが最新か分からない」が起きます。ファイルを共有フォルダに置いても、同時に直すと片方の変更が消えることがあります。
Excelで続けるための工夫
上の場面に当てはまっても、すぐにシステムが必要なわけではありません。まずはExcelのまま、次の工夫で手間を減らせます。
- 品番を1つにそろえる:在庫表・予約表・見積書で同じ品番を使う。「A100(両面)」のような書き分けがあるなら、本体の品番と仕様を分けて書く
- 貸出期間を「出る日」「戻る日」の2列にする:「10/10〜12」と1つの欄に書くと、あとで数式で数えられない
- 予約表は1つのファイル・1つの表にまとめる:案件ごとにシートを分けず、1行1件で縦に並べる。拠点も1列で持つ
- 空き数を数式で出す:品番×日付の表を作り、SUMIFS で「その日に出ている数」を数えて、総数から引く。手で数えるより見落としが減る
- 直したら日付と名前を残す:変更した日と担当者の列を1つ足すだけで、直前の変更の取りこぼしに気づきやすくなる
- 書き込む人を決める:予約表に書くのは1人(または1部署)と決め、ほかの人は見るだけにする
空き数を出す数式の例
予約表(品番・数量・出る日・戻る日)がある時、ある品番のある日に出ている数は、=SUMIFS(数量の列, 品番の列, 品番, 出る日の列, "<="&その日, 戻る日の列, ">="&その日) で数えられます。総数からこれを引けば、その日の空きです。
システムを考えた方がいいサイン
次のうち2つ以上に当てはまるなら、Excelの工夫だけでは手間が減りにくくなっています。
- 同じ日の在庫の重なりを、毎回人が数えている
- 拠点が2つ以上あり、拠点の間で品物を動かしている
- 直前の変更で、見積・手配書・在庫の3か所を直している
- 見積書の内容を、手配書や請求書に手で書き写している
- ベテランが休むと、在庫の場所や取引先とのやり取りが分からなくなる
Excelのままが向いている会社
反対に、案件が月に数件で、担当者が1人、拠点も1つという会社なら、上の工夫をしたExcelで十分なことが多いです。システムを入れると、商品の登録や使い方を覚える手間が先に来ます。今のやり方で困っていなければ、無理に変える必要はありません。
次の記事:決まった内容を現場へ正しく伝える「手配」の話は、イベント用品レンタルの手配ミスを防ぐには?現場経験から見えた5つの工夫と限界にまとめました。
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